夏目アラタの結婚を気持ち悪いと思ったことはないだろうか?最新7巻まで一気読みした時にも同じく「気持ち悪さ」を感じたが、これは普通の気持ち悪さではなかった。私たちは作者にずっと操られていたこと。1巻を読んだ時から既に。こんな最悪な気分なのに8巻が待ち遠しくなったという話になると思う。
「夏目アラタの結婚」とは?
【夏目アラタの結婚】とは【医龍】の乃木坂太郎先生の最新作。
さっくりいうと3人バラバラ殺人事件の犯人の女性”品川真珠”と中学三年生の子供が夏目アラタの名前を語って行った文通がきっかけで出会う羽目になってしまった児童相談所職員の”夏目アラタ”。ついに対面した品川真珠は中学生のような手紙を書く新たに興味があったが目の前にいたのは普通の大人で偽物だと直感した真珠は立ち去ろうとしてしまう。
この機会を逃すと2度と真珠と出逢えないと感じたアラタは「なあ俺と結婚しようぜ」と出まかせを言って興味を持たせることに成功。
しかし真珠は見た目とは裏腹に深い洞察力と頭脳明晰。アラタとは違う人間だと勘繰る彼女はしれっとカマかけをしてくる。
しかし謎の好奇心を持つ真珠はアラタとの結婚を本気にする「今の話は本当」「もちろん本当さ」「じゃあ出るね」危険な笑みを浮かべた真珠が言った「出る」とは?連続殺人犯が?終身刑を受けた真珠がどうやって?そんなことは
「できるはずがない」
そう安心していたアラタだったが、後日になって彼女は急に殺人事件の無罪を主張し始め・・・?
ただただ話をつなぐための出まかせの嘘のはずが、彼女の無罪を主張する弁護士が現れ、彼女の殺人事件に関わった人間たちがこのお人好しだったことも判明、ついにはアラタの同僚の女性も味方にする巧みな話術で無罪で出所が現実味を帯びてくる・・・。
「夏目アラタの結婚」が気持ち悪い理由とは?
正直言って引き込まれてしまうこの漫画は面白い。しかしネットでのレビューで時折見かける「夏目アラタの結婚」が気持ち悪いと言われている理由は少しわかる気がする。
この漫画で感じる気持ち悪さは二つ「品川真珠の本音が掴めないこと」「時折見せる邪悪な歯並び」でしょう。これは1巻を読んだばかりの読者の多くが感じるものだと思う。
「品川真珠の本音が掴めないこと」はぶっちゃけると現時点でも「本当は品川真珠は真犯人ではない」ということ。IQが8歳の時よりも30も上がっているという不可解な事実は、彼女が殺人犯である品川ピエロとは別人の可能性を示唆している。しかし彼女は「大事な幼少期の過去」を失っている(ふりをしている可能性もある)このように実にモヤモヤが残る内容になっているのだ。
「ボクは人を殺していないんだ」
「あのお人好しの弁護士がついたのか、ボクはもってる」
など意図が掴めない独り言は一体彼女は本当に結婚を望んでいるのか?出所するために出まかせを言っているのか?と思ったら突然艶かしい姿でセックスをしたがったり、子供のような顔で結婚式への憧れを持ったり、蜘蛛のような鋭い視線を浴びせたり彼女の本質が一切掴むことができないでいる。
そして突然「何か大事なことを思い出した」ようなことを言い出すが、どうやら殺人現場から失われた「生首」の遺棄場所のことらしく、出所してアラタと一緒にいられたらもっと色々と思い出せるかもと急に駆け引きを始めたり…しかも念の為警察に捜査させたら本当に腕が出てきたりと。彼女の真意が全く掴めていない。もしかしたら出所の糸口を掴むために事前にこのために準備していた可能性も浮上してしまい彼女は超天才殺人鬼なのか、ウソなのか本当なのか、読み続ければ読み続けるほど主人公夏目アラタと同じ感情「ここまで知ったら引き返せない」状態に陥ってしまいいつの間にか品川真珠の作り上げた巣に捕まったのかもしれない。
気がついたら2巻、読み終わったら3巻、4巻、そして最新7巻とAmazon Kindle版を注文してしまっている自分がいる。
そして7巻。
気分は最悪だ。
気持ち悪いどころではない、
「時折見せる邪悪な歯並び」は気持ち悪い。当初はそう思っていた。しかし彼女の真偽不明のさまざまな道化姿を見続けていたら、信じたり信じなかったりを繰り返してしまいもう彼女の歯並びをいつの間にか見慣れてしまった。
何言ってんだ俺?
自分でもびっくりするぐらい、こいつは一生出さないほうがいい嘘付きで殺人鬼だからどんな同情もしないほうがいい。そう思って読み進め、俺は夏目アラタのようにはなるまい。馬鹿にするな!バカが!と思っていたのだが、、、今わたしは品川真珠に同情してしまっている。
いや、読み終わった今すぐの話をするとわたしも真珠に惹かれているのだ。「気持ち悪い」という感情は読み続けたファンがいつの間にか陥っている謎の感情の変化に気づいて自分自身に感じる言葉なのでは?そう思ってしまった。
まとめ:【夏目アラタの結婚】気持ち悪いと思った理由と感想「感情の変化に驚かされた」
しまった、
私たちは作者にやられてたんだ。
品川真珠のウソくさい芝居がかったセリフや表情、ウソだらけ、こいつは殺人者だから、皆はじめに受け取った情報からそう感じただろう。だが、この漫画はこの1巻全てが作者によるミスリードなのだ。私たちが品川真珠に対してそう感じるように作者によって操作されていただけだったんだ。
いつの間にか漫画は買って
「読んでやっている」
と思っていたが、
忘れていた。
漫画は作者のものだ。
わたしたちは無意識にのうちに作者の掌で踊っていた孫悟空だったのだ。
気持ち悪い感情、?いやいや、これは見事としか言いようがない。
わたしが漫画の中に登場していたら今この瞬間に死んでもおかしくないほどだ。何もかもが清々しいと思うぐらい瞳孔も開いているしスカッと春の風が胸を通り抜ける昼の晴天の気分だ。
そうか、
あとは待つしかないのか。
初めて。
生まれて初めて次の巻を待ち遠しいと思った。
8巻は2022年6月らしい。
終わるのか
終わらないのか
真犯人
本当の娘
DNA鑑定の結果
何もかもがわからなくていい
ただただこの作者の作った世界の続きが読んでみたい。
そう思った。
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