『この漫画を買うのは少し待った方がいい』ビースターズやパルのグラフィティの板垣巴留最新作は『親の洗脳で病んでしまったヤンデレ30女の血みどろ悲哀物語!?』まずはこの記事でネタバレとあらすじを読んでからでも遅くはないので一度立ち止まって欲しい!少し後悔するかもしれないあなたの波止場になる記事です。
とりあえず思ったのは
- 作者はこの漫画で売れようとは思っていないこと。
- ビースターズの作者のレッテルを剥がそうとしていること。
- 次回作がもう楽しみで仕方がないこと。
- この人のファンは辞められない。
という印象ですね。
とりあえずそんな一方的なコメントは無視してこのボタボタはどのような漫画なのかを紹介していきます。ネタバレもガッツリ入っているのですが、正直この漫画は読む人を極端に選ぶ作品なので気にせず読み進めて欲しいと思っています。
コンテンツ
『ボタボタ』さっくりあらすじ
極度の潔癖症で汚いもの(と思っている)に触れると鼻血が大量に噴出してしまう29歳の美女「氷狩真子(ひがりまこ)」が体質を克服するために様々な人との真実の愛で乗り越えたいと願すぎて暴走するお話。
「こんな体質も愛で克服できる!」
と思い込んでいる氷狩真子(ひがりまこ)のヤベェ人格。
なぜ彼女はこんな体質なのか?
を話が進むにつれて徐々に明かされていく過去を知ると彼女のその過度の暴走の裏側には病んだ母親の洗脳のような教育が見え隠れしたりする・・・。
『ボタボタ』1話ストーリーネタバレ
おもむろに生ゴミに顔を突っ込む少女の名前は氷狩真子(ひがりまこ)。
次の瞬間大量の血を吐き出す。
・・・それから○年後。
美しい女神のような容姿に育った氷狩真子(ひがりまこ)は勤めている工場で『出血多量で死にかけた』『誰とでも寝るヤ○マン』という噂が本当か話している後輩に自身のFカップの胸を見せつけ誘いホテルへ。
いよいよ長いシャワーの時間を経て裸になった氷狩真子(ひがりまこ)を見て興奮した後輩の男がキスをした途端に大量の血液が胸に。
大量の血液を吐き出し鼻から吹き出す氷狩真子。
「断りもせずに勝手にキスをするなんて酷い・・・食べて吐いて吸う”口”って体の中で一番汚い部位・・・キスは私にとってハードルが高すぎる・・・」
そのまま説明を続ける。
中学時代に出血多量で死にかけたのは自身の”汚いものに触れると拒否反応で鼻血が出る体質”であること、この体質が嫌で克服するために”ゴミ箱に顔を突っ込んでみたり”トイレの水で全身を洗ったり”してきたそうだ。
そこまでする理由は『このままではまともにキスやsexができないこと。愛は汚くないって誰かに教わって”普通の人間”になりたい』と言うことだった。
しかし。
『は、何言ってんの?』
『イカれてんの?』
後輩は血だらけになった姿で悲壮感を漂わせつつ壮絶な過去を告白する氷狩真子(ひがりまこ)に冷たく言い放つ。
『おかしいと思っていたんだ。ヤリマンの噂はあったのに”誰もあんたとヤッた”やつがいない!血まみれの女にビビってやれなかったなんて言えるやつはいないからな!』
『ごめんいかれちゃっている系の趣味はないんで・・・帰るわ』
帰ろうとする後輩の横で沸騰が完了した合図を鳴らす給湯器。
『待って・・あなたの汚い物もお湯で煮沸消毒すればきっと私とできるから、セッ○ス』
と給湯器からお湯を出しながら血だらけ&全裸で迫る氷狩真子(ひがりまこ)
『誰か助けて!』
と雨の中を逃げる後輩。
その姿を見ながら
「私はただ、普通になりたいだけだよ」
「全身全霊で人を愛してみたいだけ」
全裸で雨の降る路上で後輩を見送る氷狩真子(ひがりまこ)。
これで1話終了。
『ボタボタ』の感想
衝撃の第一話で本気で読むのを止めようとした「ボタボタ」ですが一応思ったことを一方的に書き殴ります。
この作品で人間讃歌とか愛とかいろんな言葉を紡ぐ人はたくさんいましたが、ちょっとボーダーな私の思考で一切楽しめなかったです。
どんなに親からのネグレクトで洗脳されてしまったとしてもどう足掻いても「親が宗教やってました」みたいなエッセイを読むのと同じで「世の中にはこんなにも不幸な人生を歩む人がいる」と気が付かされて朝のニュースを見てげんなりする感覚に近く「読むのが辛い」作品でした。
福満しげゆきの「ひとくい家族」とは違った読むのは辛いでした。
脱却するためにこの漫画を描いた?
この衝撃の1話を読んで思ったのは「本当にビースターズの作者が書いた作品なのか?」「初期短編集じゃなくて?」だった。
「病んだ女が全裸で人目を気にせず男を追いかける!?」
「は?」
だった。
調べると本当にビースーターズの作者が描いた作品なのは間違いないことと、このボタボタの巻末書き下ろしで「ビースターズを書き終えた後に自分で中年漫画作品を多く輩出している漫画ゴラクの出版社に直談判して連載をスタートさせた」旨が脚色されて書かれていた・・この作品を描きたくて描いたんだ・・・。
それにしてもなんでこの漫画を書いたのだろうか?
確かにビースターズの巻末で「人の心を鷲掴みにする、ゾワゾワさせる、震えさせるような展開」を常に考えている的なことを言っていた気がする。作者自身が人の一方的な幸福を描くいわゆる漫画的エンタメを一切求めていないことが垣間見えるがそれにしてもこの「異常な体質でネグレクトで洗脳を受けてしまった残念な女が一切幸せになれないけど結構ポジティブな思考で生きていく漫画」は誰の為に描いたのだろうか?
ビースターズはなんとなく種族の格差を現代の地球上で起きているすべての縮図のようで「バカな私でもなんとなくそう言うことなのか・・」と楽しみつつも少し胸を痛め読めた娯楽漫画だった。
パルのグラフィティで描かれた作者パルさんのリアルな私生活はシンプルで彼女がなぜこのような絵描きになったのか?その道中で痺れたエピソードをわかりやすくエッセイでまとめていたので資料としても楽しみほっこりもした。
この二つの作品ともに全く作風が違う点、
そしてこの青年誌で描かれる病んだ女「ボタボタ」を書く意図は・・・
でひょっとしたらこの作品でビースターズの作者というレッテルから脱却しようとしたのではないか?とは思いました。
ということは次の作品は全く違った作風になるのだろうか?
個人的にはここまで攻めた作品は勘弁して欲しいが・・・。
「病んだ女を客観的に楽しむ」はいいのか?
先に言っておくがこの作品を読み終わっても氷狩真子(ひがりまこ)は幸せになることは一切ない。その辺は作者の板垣パルさんの作風でわかっている人も多いだろうが、それにしても呪われた体質で普通の女の子でありたいと願うヤンデレな女に多少なりとも幸福が訪れるようにはできてないのだ。
次々に癖のある男と接する真子を見て真子の過去や心情が次々と明かされていくのだが、最後の最後に待っている個人的な感想は「ああ、この女は無理だな」だった。
1:この後、氷狩真子(ひがりまこ)が汚いと感じるナンバーワンである「人の欲望そのものな”お金”」と毎日触れ合っている銀行員と愛し合えたらこの体質克服できるんじゃね?って思い込んで速攻寝ようとして結局1話と同じオチになったり。
2:アクション映画みたいに一緒に苦難を乗り越えるシチュエーションになったら男女の関係は一気に絆が深まるから・・・『よしっ!』って家を倒壊させる罠で見ず知らずの男を巻き込んでいい感じになっても結局のところ母親の洗脳と自分で仕組んだ絆なんて・・・と同じオ(略
3:次は血液センターに勤め、血液を愛する変態男性と出会い読者に「ついにきた!」と期待させ次々出血するのも「もっと出していいですよ」と変態セリフを吐かれつつついに最後まで!・・・と思ったらそもそも「人を愛せない男」と寝ようとしても・・「あれ?愛はないならこの行為って何?」と一気に冷めてやっぱり同じオチ。
4:そして最後の男は中学時代から氷狩真子(ひがりまこ)を好きだった元オタク気質な男で・・・肉体関係を持たないのに好きとかどう言うこと?と空回りする真子に対して「恋ってそんなもんだよ」と冷静に当たり前のことを言ってくれたおかげで鼻血ではなく鼻水が出る始末。
そしてついに鼻血が出ることなく「処○喪失」成功。
おいおいいい感じやんけ。
このまま普通に恋愛することで徐々に体質が変わって行って・・・と思ったら実はこの男が一番最悪な○○体質な男で・・・
私たち読者は
「ああもう!」
って最後の最後にまでなるのだ。
この漫画を楽しめる人?
器の広い男?それとも女性だろうか?
アマゾンでは評価が高いが賛否分かれるこの作品私は人におすすめはできない。
主人公は板垣パル自身?
板垣パルさんが大学生時代から描いている「毎週てんパル」でも小さく描かれていた一コマに本人が実は鼻血が出やすい性格であることを報告している↓
もちろんこれだけでボタボタの主人公と作者がシンクロされていると言っているわけではない。ボタボタの強烈そのものな主人公氷狩真子(ひがりまこ)はひょっとしたら板垣パルさんそのものを描いている可能性は他にもある。
ボタボタの主人公の性や愛に対する独特な世界の見え方についてやはり「てんパル」で一言書かれていました
私は日常で電車に乗って、
隣に座ってるサラリーマンのおじさんにもちんこが付いていることがたまに信じられないし、
接客してくれるスーパーの店員さんもセックスをしたことがあるのかと思うと、たまに逃げ出したくなる。
そのくらい、他人の性的な要素に恐怖と関心を抱いている。
いつか人間を描くことになったら、
そのときの私は性のテーマから逃げずに、立派に立ち向かうことができるだろうか????
板垣パルさんのブログより引用。過去作品とか色々読めるので楽しいです
ボタボタを読んだ後にこの文を読んで鳥肌が立った。
「自ボタボタは分自身のことを書いていたんだ。」
氷狩真子(ひがりまこ)が歪んだ恋愛に対するセリフを吐くが。
まんま。
ということだけは伝わった気がする。
まとめ:結局板垣パルのファンは辞められない魅力が
なぜかAmazonレビューで賛否が起きていた。
人間讃歌だと称賛する一方で病んだ女怖い、嫌いという極端な内容だった。
私はこんな女と出会いたくないし理解してあげようとすら思わない。
申し訳ない私は後者だ。
ただし毎回作風を変えて試行錯誤している可能性があるとするならばやはり板垣パル作品はいつだって読んでみたい。
次はどう出る?性と人、愛をもうお腹いっぱい書いたのだろうか?足らないのなら今度は擬人化ではなくリアルな若者の話・・・を描いたりするのだろうか?次はどうやって私たちの心を抉る作品を作ってくれるのだろうか?
彼女の次回作もひょっとしたら「性と人」を描くのだろうか。
再び少年誌で強烈な作品を書きそうな予感がする。
結局のところ板垣パル作品が楽しみで仕方がないのだ。
ビースターズ連載の合間に書き上げた「パルのグラフィティ」が個人的には好きで、あのビースターズで衝撃デビューした板垣パルのこと、グラップラー刃牙の板垣恵介を父親に持つ謎多き板垣家のこと、幼少期のこと、絵心のこと、大好きなおじいちゃんのこと、空港で出待ちしたことなどが柔らかいタッチが心地よく全体的に暖かな作風で読み終わった後のほっこり感が好きだった。
板垣パルファンなら彼女の作品すべて買っておくべきだ、次の作品の衝撃、また新作で衝撃、とどまることを知らないパルさんの作品すべてを揃えることでやっとパルさんが私たちに伝えたいことが紐解かれていくのかもしれませんね。
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