「異世界漫画の最高峰の面白さ」「農業ゲーム好き必読」漫画『異世界のんびり農家』を食わず嫌いの人!厨二嫌いな人、新しい異世界転生漫画を探していた人、ちょっと疲れた大きいお友達にはおすすめの理由を紹介。『異世界のんびり農家』は内藤騎之介原作のライトノベルを「剣康之」が漫画化したものです。今回の感想評価はこちらの漫画版です。
ちなみに原作は未読、ついでにラノベは基本的に読みづらいので苦手です。
『異世界のんびり農家』感想
本当に偶然友人宅にあった漫画版「異世界のんびり農家」を読み一気にファンになりましたが、第一話を読んだときは「画力は低いし、展開がお粗末」「相変わらず異世界転生漫画は迷走しまくってるしこいつもクソなんだろうな」なんて思っていました。
が、読んでいるうちに分かってくる。
・性描写の排除
・いい意味で脱力系
・展開の端折りの良さと店舗の良さ
・細けぇことはいいんだよ!楽しめ!
・なのに細部まで謎のこだわり
気がついたら画力の低さなんて目に付かずこの作品の世界の住民になったような不可思議な感覚なまま「疲れやダレもないまま」最新7巻まで読み進めてしまう魔力がこの作品にはあります。
第一話で諦めてはいけない
そうなんです。
- 現世で死ぬ
- 神様からチート能力もらう
- 異世界転生
- 万能アイテムで無双
ここまでは異世界転生のテンプレそのままな展開をするのは事実なのですが、すごいのはここから。
超展開で主人公の周りに集まる総勢200人を越す村人、超細かい種族の生態も、村づくりの基礎はドワーフやエルフから、落ち着いて生活していたら急にドラゴンに襲われたり、ドラゴンを瞬殺したら魔王界どころか人間界からも恐れられる存在になったり、徐々に仲間が増えると同時に作れる農作物や食物、料理、調味料からお祭り、農地と領地を増築しまくてっていく姿はまさに農業ゲームの展開そのもの。
いつの間にかこのとんでも展開を楽しみ、波乱万丈のないトゲが無い彼らの生活を気楽に楽しむ自分がいました。
なのに飽きが一切来ないのは、テンポの良さだけではなく、作者の細かいこだわりが随所に光るのでやはり異世界好き、ファンタジー好きのつぼもしっかりと刺してくる細かい職人芸があるからです。
とにかくほんの少しだけでもこの記事を読み進めてください。
きっと読みたくなりますから。
徹底した性描写の排除
異世界=エロってどうしても相性がいいので同時に存在してしまうのですが、この作品では徹底的(ではないか)に性描写を排除しています。
ちょっと良く思い出せないんですが、現世で死んだ⇨チート能力手に入れた⇨農具で開拓⇨吸血鬼女登場してなぜかその晩に抱かれる展開があるんですが、具体的に「抱いた」描写はなくて「すごかった」みたいなちょっと曖昧な描写で終わらせる。
初めて読んだときは「ここが一番大事だろうが!」と唸ったもんですが、これが実は良い味を出していることに気がつきます。
画力が何であれ「エロ」を出してきた時点で我々男の股間には何か劣情のようなものがわきおこります。
人によっては速攻別の行為に勤しんだり、いずれはどこかで発散せざるを得なくなる人もいるはず。
しかし原作者は「波乱万丈の少ない作品」をコンセプトにしているため「性描写」も人によっては「漫画の邪魔」になると判断して徹底的に排除しています。
これが正解。
女神とかハイエルフとか獣人とかキャラクターの男女比が99%女の漫画なのにこの漫画に対して「エロい」とは思ったことが一切ないんですよね。
おかげで気楽に漫画に集中できてしまうんです。
ちなみにパンツすら見せないように、とにかく性描写と思われるものは一切ありません。あ、いやあった。一巻で吸血鬼女とか全裸で登場していましたね。(でもエロくない)
画力が足りないから。
ではないですよ。(多分)
多分。
なので100人以上の女たちと関係を持っているはずの主人公には一切の憧れも何も感じることなく楽しんでますから。
大丈夫そこまでいけばこの漫画に対してエロを求める気持ちすら無くなっていますから^^
「気にせずに楽しめ!」原作者の想い
これも不思議な物語の展開方法と思ったのが「今作は大事なところをとことん端折る」
万能農具で敵を殴ったら頭部は肥料に、体は肉。万能農具で耕すと疲れない。
気の根っこもおが屑になる。
木もサクサク斧で刈り取れるのはなんで?素人がいきなり木材手に入れただけで家作れるのはなんで?
そんな細けぇ事は気にすんな!
楽しめ!
って事みたいです。
脈絡もなく現れた蜘蛛が都合よく布どころか服も布団も作ってくれるのはどうでもいいんだ!
コンセプトが「波乱万丈のない」今作では異世界転生ものにあるような、「気持ちの乱高下」すらも一切排除されているようです。
健康と神の農具を手に入れた彼がなぜかドラゴンを貫く腕力と槍に変化する農具(武器やんけ)に対するツッコミは作中にはない(なかったはず)ですが、これに対して説明不足と思うのは残念。
徹底した説明不足は説明が面倒は
そんなの気にしないで楽しもうぜ。
ってさっさと伏線とかフラグとか気にせず淡々んと一気に進むのが今作の特徴であり良さなのでもう一段階その理系な思考を6才ぐらいの知能にまで落として頭ぱっかーんで楽しむのが正解。漫画だし。ファンタジーだしね。テラフォーマーズの人為変態とか素直に楽しめない人ですか?
作中めちゃくちゃ展開も早いしページめくったら何年も立っていたりするけど誰も年を取らないし子供が生まれても子供の鳴き声がウゼェってならないし、女同士がギスギスとやり合ったりもしません。
とにかく気楽に読めるんです。
無職転生とか「現世時代のリアルなクソニート姿」をちょいちょい出しやがってくるんですよね。
「現実を見せるんじゃねぇよ!やっと異世界の顔に慣れてきたのにヨォぉぉ!気分下がっちまったぜ!」
とか
転生した時の感動を出すための演出とはいえ、徹底して描かれすぎて逆に引くレベル。
しかも物語が進んでもちょいちょいこいつの顔出してくるから「いちいちリアルに戻される」のでこの作品は嫌いです。
こんな最悪な気分には今作ではなりません。
謎の細部へのこだわり
ここまで読めばもう適当に楽しめる異世界日常農家漫画って思うでしょうが、それも実は少しハズレ。
こんな一大事も一コマで片付ける程の超展開の早さなのでそう思うのは仕方ないですが。
この漫画、原作者の並々ならぬ想像力が詰め込まれていることが節々で感じることができます。
小説版も読んでいないので本当に漫画版から感じた印象だけですのでご容赦を。
種族の違い
人間と亞人とモンスター程度の認識なのかと思ったら天使族に竜族に吸血鬼にハイエルフに山エルフにドワーフに魔族から、謎の切り株種族ニュニュダフネ、ハーピーなどなど種族を細かく分けて登場させるのが今作なのだが、漫画ではさっくりと紹介して終わりーーーと思ったが、しっかりとそれぞれの種族の細かい生態描写があるのも読んでいてニヤリとする。
例の神のチード道具「万能農具」によって適当にバンバン作り上げられる家を建造するも種族によっては小さすぎるとか屋根だけあればいいとか、大きすぎて落ち着かないとか、放浪時期が長いからこういうのは逆に困るとか色々言ってくる芸の細かさは唸るレベル。
「ああ、作者は登場キャラ全員の背景とかもしっかり考えているんだな」
と感心する(当たり前?)。
ニュニュダフネ族は面白いと思ったが、登場させたところで何の得にも害にもならず出オチ感があったが、連絡係だったり街灯がわりなど種族毎にしっかりと村での役割を与えているところかもうね・・やるなぁって。
真面目に会議する
武闘会を開催した際も準備を怠らずにしっかりとやり切ったと思ったら反省会を行い何が良かった悪かったなど結構リアルな会議を行って次回の是正処置もして解散するなど本当に細かいところには気が付く。
で、武闘会をやると思ったら「滑走」勝負になってローションサーフィンでジャンプ代からドーンと飛ぶ競技も飛距離とか乗り方とか芸術点などのこだわり。細かい。
なのに良いところは思いっきり端折るから、疲れると思ったら疲れないある意味すごい雑な切りっぱなし展開、不思議です。
こんな感じの急に「そこ気にするの?」とか「え?そんな細かい設定だったの?」とか随所に光る職人のこだわりにいちいちニンマリしているうちに気がついたらもう7巻終わっちゃいます^^
画力の低さも気にならない魔力
と、
このように多くの魅力が詰まっているのに画力が低い、下手だからと楽しめない人がいるのも事実だと思います。
なろう系漫画の下手代表のこいつ”ら”↓
私も同じです。下手な漫画は買うどころか手に取ることすらためらいますよね。
でも今作は違います、初期よりも”ほんの少し”は画力は上がっていますが、画力以上の魅力が詰まっているのでこのまま食わず嫌いは本当に勿体無いですよ。
もしそれでも見れないって人は、ワンパンマンの原作コミック版をぜひ読んでみてください。
画力クソ(すみません)レベルなのに物語と展開が面白すぎて画力のこと一切気になりません。むしろヤンジャンリメイク版の方が絵が綺麗でもクソ漫画だって事に気がつき自分の漫画レベルが上がります。
原作コミック版は”全話無料(クソみたいな登録もなく速攻で読めます)”なので(ここで)今すぐどうぞ。
まとめ:異世界漫画の常識を覆す良作
とにかく驚かされた異世界転生ものを日常化して徹底して性描写を排除して色々な波乱万丈を排除した結果、原作者の徹底して細部にまでこだわった世界観を楽しめる農業漫画でした。
ぜひ。
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