漫画『ドラゴンヘッド』に残された数々の謎、伏線を解説。浄水場の子供たちの悲惨な結末、謎の紋様、タイトル、木花咲耶姫命が東京に書かれた意味。最終回の本当の意味などを解説して行きます。
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浄水場の子供達のその後が悲惨
浄水場で別れた16歳の美川がリーダーの男女4人組(それぞれの詳細はこちら)は四人で東京に向かって歩いて行きました。
それから彼らと出会うことはありませんでしたが無事に辿り着けたのか気になった人は多いと思います。
実はしっかりと彼らの安否が描かれています。
9巻でテルが東京の地下道を歩いているとき壁面に描かれていた紋様があの時浄水場で出会った彼らが東京まで辿り着けたことを示唆。
さらに、
元々恐怖心から逃れるために儀式を行なっていた少年少女たちは、この地下王国に到達して、あの成分の入った 食料を食べたことで恐怖から逃れた平穏な日々を過ごしていると傷頭から教わります。
しかし、
彼らは無事とは言えない状況でした。
傷頭が「少し前、ここに来た、少年たち、君とは違う(救いを求め、恐怖に囚われていた)、そして食料を食べて安らぎを得ていること。」
そして
「彼らも他の人と同じように恐怖を欲するようになり自傷行為をする恐怖中毒者になってしまった」
ことも分かります。
浄水場と東京の「儀式の紋様」の意味
浄水場で出会った彼らは恐怖から逃れるために、手当たり次第に魔除けの紋様を描いて儀式と称して謎の踊りを繰り返していました。
そんな恐怖に囚われていた彼らが描いていたのは「中国の太極図」
この紋様は
中央の白と黒の勾玉が合わさったマークを「太極図(太極図)」と言い、陰陽のシンボルで、黒を隠、白を陽を表すことから陰陽太極図とも。
その太極図を囲う八角形の部分を「八卦(はっか)」と呼び、よく見ると棒が一本と二本に別れているものがありますが、それぞれの組み合わせに意味がありそれぞれ意味を持ち8つの型を組み合わせた六十四卦はこの宇宙の森羅万象様々な事象を表します。
この太極図と八卦の組み合わせた図を「先天図」とよび、配列自体に呪力が込められており魔除けの呪符などに使われる効果があるとされている。
意外としっかりと意味を理解して書いているようだが、よく見ると棒をざざざっと書いただけで八卦の意味を無していないところが、中高生らしい爪の甘さでもある。
それでも恐怖から逃れたいため、藁にもすがる思いでこの図を書いていたのだろう。
伊豆と東京の「木花咲耶姫命」の意味
ドラゴンヘッド5巻で伊豆のおばさんが墓を作り花を備えていた鳥居に刻まれていた「木花咲耶姫命」
普通なら「ああ、偶然生き延びた鳥居なんだな」で終わるはずでした。
しかし、9巻で地下王国(避難食糧シェルター)に向かう途中にある地下鉄の線路沿いに同じく「木花咲耶姫命」と書かれている。
ドラゴンヘッド9巻ドラゴンヘッド(C)望月峯太郎/講談社
「木花咲耶姫命」しかも前述した四人組の彼らが書いた可能性もゼロではない、何か意味のある言葉だったのだ。
「木花咲耶姫命」とは?
木花咲耶姫命とは
コノハナノサクヤビメと呼ばれる古事記に登場する神様で、日本で最も高い山、霊峰である富士山に祀られている神様でもある。
コノハナノサクヤビメの神話の詳細を知りたい方はこちらをどうぞ。
このことからあの文字は、埋もれた鳥居は噴火して消滅した富士山を指し、東京の地下道に新たに書かれた木花咲耶姫命の文字は東京の新たな富士山(神)が誕生したことを表しています。
タイトル「ドラゴンヘッド」の意味
この物語は「サバイバル」のような逃げ惑う人たちの苦難を描いた作品ではなく、「恐怖」そのものを描いた作品です。
この作品に登場する傷頭と呼ばれるスキンヘッドで傷跡が残る彼らは恐怖や不安をなくすために扁桃体と海馬を取り除く開頭手術を行なっています。そんな彼らのことを先生たちは「龍頭」と呼んでいたそうです。龍頭=ドラゴンヘッド。
龍頭と呼ぶ意味は、取り除いた脳の部位である「海馬」は「タツノオトシゴ」=「龍」とも呼ばれていること、龍を頭から取り除いた(飛び立った)ことで龍頭と呼んでいる。
恐怖を取り除くために自ら志願して「龍頭」となることを選んだのだ。
ドラゴンヘッド=龍頭=傷頭=恐怖
ドラゴンヘッドとは「恐怖」という副タイトルが存在しているのだ。
傷頭の薬「SSRI」は実在する?
菊池が持っていた薬の袋に書かれた「SSRI」は実在したのをご存知でしたか?
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor,以下「SSRI」という。)は,セロトニンを放出するシナプスのセロトニントランスポーターに選択的に作用し,セロトニンの再取り込みを阻害することで,うつ症状等の改善を図る抗うつ薬である
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等と攻撃性等について
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor,以下「SSRI」という。) は,セロトニンを放出するシナプスのセロトニントランスポーターに選択的に作用し,セロトニンの再 取り込みを阻害することで,うつ症状等の改善を図る抗うつ薬である。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬について
ちょっと難しい言葉が続きますが要するに「SSRIは不安やパニック症状(うつ)の治療薬」です。
傷頭たちは「扁桃体と海馬」など不安や恐れを司る部位を切除しているので必要はなさそうですが、やはり薬を取り込まないと「元々強迫観念が強い人にとっては必要な処置」なのか不明です。
後日テルが出会った東京からの脱出者の傷だらけの川上も似た袋の薬を持っていました。
しかし
「ーEX」の表記については意味がわかっていません。
北斎の絵と関連
何か意味ありげに描かれていた「北斎の絵」ですが実はあまり本編とは関係ありません。あの絵を描いた北斎は死の3ヶ月前で、80歳を超えてから絵の究極を求めて描き遂にたどり着いた自身を龍に例えて描き、日本で一番高い富士山を飛び越え、天(死とまだ尽きぬ興味、野心)に向かう絵です。
確かに傷頭はあの絵のようなことが東京で起きたとしか言っていないので間違いではないですが、なんとなくあの絵ってなんだったんだろう?って思いますよね。あの北斎の絵の解説はこちらでされています。
しかし、作者の望月峯太郎があの絵を「富士山の噴火」(実際大きな火口が中央にあるが噴火するのは中腹あたりと言われていることを調べた上でこの絵と物語を重ねた想像力は凄いです。
最終回の謎、伏線、本当の意味解説
「人間の想像で新世界を!」
ラストで投げっぱなしかよ!とお怒りの声が多いドラゴンヘッド最終回ですが、あの絵にはしっかりと答えが出てきています。
この絵は数年後の未来です。
この絵を見てください。
実はこの絵は
「壊滅を免れた郊外の協力で復興した東京」
を表しています。
ドラゴンヘッドでは静岡、神奈川、東京以外のことには一切触れていません。富士山が消滅して大穴が空き、周囲はマグマが流れ出る地獄絵図そのものでしたが、その他の地域については一切触れらていませんでした。仁村と岩田が黒雲は偏西風に乗って〜という説明をしていましたが、偏西風は南南東に向かっていたため黒い雲の影響も愛知、山梨、長野、茨城、栃木などは被害がほとんどありませんでした。
そうして溶岩、富士山の大穴、東京富士の噴火が収まった時からすぐに復興が始まります。船で待機していた海外の救援などの協力、難を逃れた地方からの主要な道路によって物資が運ばれました。
道路沿いに人が集まり光が灯されています。そして中心の東京に向かって人が再び集まり平和な日々が送られているテルの思い描いた皆が協力して恐怖に打ち勝った未来が描かれています。
東京富士を筆頭に、残った東京湾は海水か湖かは不明、千葉県だけほぼ壊滅状態になっていますが、沿岸部に光が見えるので徐々に復権が始まるでしょう。
いかがですか?
この新しい世界は、日本にかつてない甚大な被害を与えました。しかし阪神淡路大震災を受けても、東日本大震災を受けても、コロナが来ても日本では皆が協力して復興しています。
東京に富士山ができたことで、きっと「東京富士」として新しい世界遺産となりいずれ多くの登山客で賑わい、富士山の大穴も「富士の大穴」として地下に降りるエレベーターができるかも、茨城に伸びる隆起した山脈もきっといつか世界のクライマーが集まる有名な霊峰になるかもしれません。
想像してみてください。
新世界を。
まとめ:ドラゴンヘッドに残された伏線と謎
いかがでしたか?
ドラゴンヘッドに残された数々の伏線や謎を解説して行きました。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
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